Web Magazine for Kyushu Hikers Community
僕が大阪へお盆と正月に帰省するタイミングで、関西の山仲間たちと山の上でただ宴会をするだけの会を10年ほど続けていた。過去形なのは、都合により大阪へ行く機会が少なくなったので、呼びかけ人の係を降りさせてもらったからだ。会は他の仲間の声がけにより続いている。
琵琶湖の西側に連なる比良山系。琵琶湖が眼下に望む、素晴らしい景色が自慢のロケーションを宴会場だ。この催しは、登山やハイキングを目的をしているわけではなく、宴会こそが目的で、その会場が山の上だというだけである。参加の声がけは、開催日となんとなくの開始時間を告げるにとどまり、後は、現地集合、現地解散となる。ルールは一品一芸の持ち寄りのみだ。
とはいえ、多様なチョイスが可能となる会場までの道のりも楽しみのひとつだ。琵琶湖側から最短ルートで2時間程度で行くこともできるし、京都や福井方面から続く縦走路を何日かかけて歩いたり走ることもできる。夏は様々なグレードの沢登り、冬は太腿までのラッセルなど、少々テクニカルな要素を楽しんで会場へ向かったこともある。なんといってもすばらしいのは、隣接するスキー場のロープウェイを使って上がってくるということも可能ということだろう。
事前の参加申し込みなどもないので、誰がやってくるのかは当日にならないとわからない。
一人またひとりと、歩いてくる姿を見つけるたびに先についたメンバーですでに始まっている宴会場から歓声が上がる。
深夜まで盛り上がった翌朝は、それぞれがそれぞれの方向へ向かって自然解散となる。
「宴終わりて山湖あり」と、畏れ多くも詠んでおこう。
琵琶湖から見上げると、僕たちの火がチラチラと見えただろうか。
山岳民族のような気分で見下ろしていた、静かな琵琶湖のほとりで雲上の宴を想う。
テキスト・写真/豊嶋秀樹