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ハッピーハイカーズ法華院ギャザリング

date/2016_11_05,06 2days

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ハッピーハイカーズ・法華院ギャザリング報告

先月の11月5・6日に大分くじゅうの法華院温泉山荘にて開催された「ハッピーハイカーズ・法華院ギャザリング」。この『ハイカーのためのコミュニティーを作ることを目的とした、ハイカーのための集い』は両日とも好天に恵まれ多くの方々に参加・協力していただきました。今回はこのイベントについて主に「何が行われたか」について時系列に沿ってまとめています。とはいえすべての出来事を記録できていたわけでもないので各催事について情報量に差があるということはあらかじめご了承ください。参加された方々にはその時の記憶を思い返す契機に、また参加できなかった方々にはほんの少しでも雰囲気が伝わることになれば幸いです。

イベント前日

11月4日朝。福岡市内はそれまでの冷え込みが緩み予報通りの快晴だった。Happy Hikersスタッフは通勤時で混んでいる市街地を抜けて一路くじゅうへ向かう。翌日からのイベント本番に備えてのことなのだけど、このような好条件でくじゅうに向かうということそのものに高揚してしまう。
くじゅう連山の登山口である長者原に着いてみると雲一つない上に風もほとんどない。この時点でイベントの成功がほとんど決まっているように感じたのは、その少し前に発起人の豊嶋が「準備はできる限りやっているので、あとは天気だけ」と言っていたのを思い返していたから。そういう意味ではこの日程を提案された法華院温泉山荘の社長である弘蔵氏に見事なアシストをしていただいたのだなと思う。ちなみに下見で現地に行ったときは3回ともどしゃ降り!

イベントを明日に控えたこの日の夜は前夜祭とばかりに、前乗りしているブース・レクチャー・ワークショップ関係者の皆さん、そしてメイントークをされる土屋さん、北野さん達と山荘の談話室でお酒を交えて楽しんだ。この日のために用意していた日本酒2升はあっという間に無くなり、またその場にいるメンバー自身が持ち込んでいたお酒もまた同様に。まるで打ち上げのようだったかはともかくとして、ひとしきり盛り上がった後で坊ガツルのテン場に向かう途中に見たその夜の星空は本当に綺麗! それゆえに放射冷却で予想以上の冷え込み(-10℃くらいまで下がったらしい)を経験したのだけれど。そしてそんな坊ガツルにタープが珍しくないのはこの時くらいじゃないだろうか?

イベント1日目

11月5日。この日は9時から受付用テントなどの設営をして、10時にはイベント運営に関わる方を交えての各種説明があり、11時過ぎにはイベント参加者の受付が始まる。夜明け前には見えた薄い雲もなくなり素晴らしい秋晴れの中、法華院ギャザリングのスタートを迎えようとしていた。
同時にブースの皆さんの設営も進んでおり、まだ全てではないものの大方の全容が見えてくると運営側にいながら「こんなイベントがくじゅうの法華院であるなんて」とあらためて感じていた。
受付に並ぶ参加者の方の中には先日のHappy Hikers Barでお見かけした方もいたり、また年輩の方もいらした。そして紅葉はほとんど終わったとはいえ好天のくじゅうなので登山客も多い。それでも去年までに比べたら、ということになるのかもしれない。このイベント自体は1年前から進められてきたが、今年になって熊本では災害が続いておりその影響は計り知れない。そのような状況で「何か出来ないか」との想いを強めたスタッフもいる。願わくばこのギャザリングでは、くじゅうの山々、坊ガツル、法華院山荘などこの地が有している様々な魅力を九州以外の皆さんにも感じてもらい、また九州においてはその魅力の再確認となりますように。

開会式が12時にとり行われ、Happy Hikersスタッフのボマちゃんによる宣誓にて「ハッピーハイカーズ・法華院ギャザリング」がスタート。ただしこの時「事前のタイムスケジュールだと12時半だったよね」と気が付いているスタッフもいたりするのだけど、とにかく始まる(笑)。
早速13時から15時までには3つのワークショップ(「025'sシルクスクリーンプリント」・「アルコールストーブワークショップ」・「知っておきたい地図の読み方とコンパスの使い方」)と1つのレクチャー(「ロング・ディスタンス・ハイカーの世界〜野営とハイキングを繰り返す旅人たち」)が行なわれ、それぞれ多くの方が参加して貴重な話やモノ作りを楽しんでいる。
シルクスクリーンプリントは好天も手伝っての野外WS。参加者の皆さんが自分で考えた絵柄をめいめいのTシャツなどにプリントしたいと慣れない作業に試行錯誤しながら手を進めている。アルストWSではSanpoさんの実演からの説明があり、参加者が持参したアルミ缶をアルストに加工している。地図読みとコンパスWSは室内でスクリーンを使った説明の後に屋外で実用のための説明がされる。それぞれ熱心に質問をする参加者がいて、それに答える講師の皆さんも真剣そのもの。
「ロング・ディスタンス・ハイカーの世界‥」では「釣歩日記」著者の方も参加されてロングトレイルにまつわる様々な事柄が語られる‥‥。これらがくじゅうの一つ所で催されていて多数の参加者がいるということは全くもって凄いことだと思う。
さらに各ブースを回ってみると九州ではなかなか手に取ることのできないアウトドアブランド、ショップのギアが並んでいて、その場でしか購入できないものもあり、また受注したものをリアルタイムで製作するブランドも。九州・山口、唯一の山雑誌「季刊のぼろ」からの出店もあり、最新号・バックナンバーを販売している。
福岡や地元大分、そして京都からのフードのお店ではそれぞれドーナツにパン、カレーが並び、山荘からもお店が出され社長自ら肉を焼いていたりして充実している。ちなみにHappy Hikers ショップでは限定Tシャツや手ぬぐいを販売し、その売り上げにはとある三姉妹の活躍があったことも触れておきたい‥!
(各ワークショップやレクチャー、ブースの詳細はこちら)

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忙しく歩き回ってはいたけれど日陰に入ると肌寒く感じるようになってくる。15時からのメイントークはハイカーズデポの土屋氏による「UL HIKEはZEN HIKE」とSky High Mountain Worksの北野氏による「野人になろう」の2本。 さて今回のトークを引き受けていただくにあたってお二人とは事前に豊嶋(Happy Hikers発起人)と複数回のやりとりがあったという。

「まず土屋さんとは、九州での初めてのハイクやULの集まりでの起点となるような話として相談しました。ULというと、どうしても道具の話になりがちだけれども、今回はなぜそういう道具が必要なのか、そういう道具を使って何をするのか、というそれら背景にある思想からULをきちんと紹介したいということをお願いしました。特に、九州では実践よりもメディアの情報の方に引っ張られる傾向があるように思ったので、スタート地点として道具ではない、思想の話をということで進めました。それが土屋さんの考えていた"ZEN HIKE"という部分と繋がった感じです。これは結果としてレクチャーシリーズ全員の共通のテーマになった(豊嶋)」

そして北野さんとのやりとりにおいては、
「"Happy Hikers"という言葉が持つユルい感じのイベントにはちょっと(抵抗がある)、ということだったのだけど、北野さんと数回話させてもらっているうちに、じゃあ、"Happy"ってどういうことなんだ?という話になりました。“Happy はシンプルであるがイージーではない”というイベントコンセプトにもある言葉は北野さんとの話を経て僕が追加したものです。具体的な話のテーマに盛り込んでもらったのは、ハイクというものの先にある広がりというのが一つ、それから遠くの山ではなくローカルの山でどれだけ楽しめるかというのが一つでした。北野さんはその二つの点を六甲山の麓で実践しているから(豊嶋)」

あの法華院温泉山荘の大広間でお二人が話されていた内容はまさにこうしたもので、それぞれは異なる内容でありながらも、土屋さんが言われていた「自然との一体感(調和)」や北野さんが繰り返し触れていた「ネット情報に左右されないで。里山でも冒険はできる」は、双方ともアウトドアを心から楽しもうという通底する想いがあると感じられる。
ちなみに北野さんのトーク終盤でその熱く語る様子を見ていた土屋さんが「だいぶ気持ちよくなってるから止まらなくなってるよ(笑)」と言いながら両手を使って“巻く”ジェスチャーをする一幕も。

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20時から法華院温泉山荘の食堂をお借りした懇親会は土屋さんと北野さんのクロストークを聞きつつ、この夜も日本酒が振る舞われ弘蔵社長からも差し入れを頂戴したけれどもやはりあっという間に‥。そして迎えたオークション。こちらでは各ブース出店の方々が持ち寄ったレアなアイテムに予想以上の金額での落札が続き、見守る参加者のどよめきや実際に落札した方の歓声など大変な盛り上がりに(※こちらのオークションは熊本、大分の震災復興のチャリティーとして、ハイカーらしい使途を法華院温泉山荘さんと相談しています)。
しかしそうした時は早く流れるもので22時には散会となり、これで1日目の全スケジュールが終了。

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イベント2日目

11月6日。快晴は続いていて風も弱い。続けて良い条件に恵まれたこの日は朝駆けとばかりに近辺の山を巡っている参加者もいて、実際気持ちの良い山行になるだろうなと思える。
2日目は8時から4つのワークショップが始まり、14時の閉会までに3つのレクチャーがある。前日にはなかったWSとして「パッキング・クリニック」・「ハイカーのための食事と栄養学」・「ハイク&ランセッション」があり、「ハイク‥」については実地での様子を目にすることはできなかったが、聞いたところでは「ラン1、ハイク1、岩遊び8のほぼスクランブリングセッション」だったという。
栄養学WSは行動と食事の両立の難しさなど講座然とした内容で参加したHappy Hikersスタッフもとても参考になるとのこと。パッキングWSはこの日だけで3回催され、朝イチの回では残念ながら参加者からのパッキング例の協力が得られず。それでも参加した方からはやはり面白かったと言う声が聞かれる。個人的に唯一参加したWSがパッキングの2回目で、この時はお二人の参加者からパッキング例の提供がありそれらをまさに“診断”していく土屋さんの所見に頷く皆さん。その場に立ち会って感じたのはこうしたイベントの質を高めてくれるのが参加者の方々なのだなということ。この回が終わった後では山と道の夏目さんもアドバイスをくれたり。そして3回目のWSではさらに多くの方が協力をしてくれていた。

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レクチャーの一つ目は「ウルトラライトの展開術ーULアソビのすすめ」。千代田さんが実際に南アルプスで二泊三日の山行をした際の体験談などをもとに様々な“ULアソビ”のヒントを提案する。
「日本ULハイク/コテージインダストリー史概論」は日本におけるULカルチャー史とコテージインダストリー史(“ガレージメーカー”は和製英語)について語られていて本当に知らないことばかり。
「山と道、夏目さんの話」はこの日最後の催しとなる。こちらでは豊嶋が聞き手となって様々な話題が語られていて所々で笑いもあり、「自分が必要とするものを作る」というスタンスでこれまで多くのギアを発信されてきた夏目さんが今後どのような活動を展開していくのかについても語られた。
同じく最後の催しだったアルストWSも終了し、閉会式へ。

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閉会式のあと撤収作業も終わりスタッフ一行は一度坊ガツルで自分たちの荷物を引き上げてから、あらためて弘蔵社長に会ってお礼申し上げた。そして社長は空を見やってから「この後は雨になるね」と言い置いて忙しそうに搬送作業に戻っていった。

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こうして「ハッピーハイカーズ・法華院ギャザリング」は無事終了しました。参加された方々はそれぞれの楽しみ方をされた思うし、その様子はイベント後にInstagramで多くの投稿を見ることも出来ました(「#法華院ギャザリング」や「#happyhikerskyushu」タグ)。
あえて触れるなら当日来られなかった申込者が少なくなかったことでしょうか。イベント自体に影響は無かったけれど、キャンセル待ちをされていた方がまだ相当数いて、また事前にキャンセルの連絡をもらったことで参加することが出来た方もいます。そしてそういう方ほどあの2日間を楽しんだのだろうなと思います。

ともあれHappy Hikersとしては年内にハッピーハイカーズバー(12/16)が予定されています。それではまた次回のハッピーハイカーズバーにてお会いしましょう!

テキスト/内田タケハル 写真/石川博己

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