Activities

Happy Hikers BAR Vol.17

date/2018_10_26 fri

例年になくあたたかい日が続く秋の北海道。 この時期は農家さんの間ではよく「端境期(はざかいき)」と言われ、野菜の収穫が終わり冬の仕事が始まるまでのお休みの時期。
グリーンシーズンの遊びがひとまず終わり、ホワイトシーズンを待ちわびるこの季節はニセコのハッピーハイカーズたちにとってもまさに端境期です。

さて、今回で3回目となるハッピーハイカーズバー・ニセコは、端境期まっただ中の10月26日に開催されました。会場は今までと同様に、ニセコエリアでは一番大きな町である倶知安町の駅前にあるカフェ「SPROUT」です。

19時になり、お馴染みの夫婦DJ「mfp」と「jealousguy」がかける心地よい音楽とともにゆるんでいく雰囲気の中、ハッピーハイカーズバーニセコはオープンです。
参加者のみんなが徐々に集まりだし、お酒を片手に、ケータリングしてもらった「ニセコ山麓パーラー」のスペシャルサンドをほおばっている。ほどよく会話が弾んだ頃に一人目のゲスト福山晶子さんのトークが始まりました。

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「『スノーボードが好き!」という思いだけで九州から北海道に移住してきました。ニセコにやってきてからは、様々な仕事をしてきました。
仕事をつうじて、たくさんの人に出会い、たくさんの楽しさを教えてもらいました。
体力のある男の人たちに必死についていき、かっこよく滑るお姉さんから学びました。ただただ『好き!』というだけだったスノーボードは、ゲレンデやパーク、バックカントリー、そして羊蹄山や旭岳といった冬山にも入るようになり、より深く、広く楽しめるようになりました。」

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出会った多くの人から教えてもらった楽しさは、スノーボードだけではなく、ニセコで生活をするということでもありました。

「コーヒーもそうだし、食べることや音楽も、みんながそれぞれの「『好き』を持っていて、その『好き』を 思いっきり楽しんで暮らしている。そういう人たちが周りにいるから楽しくニセコでの生活が送れているんです。」

いつもは恥ずかしがり屋の福山さんですが、堂々と大きな声で勇気を出して話そうとするその姿は、これまで出会いたくさんの「楽しさ」を教えてくれた人たちへの恩返しであり、今を支えてくれ、これから一緒に楽しく過ごしてくれる周囲の人たちへの感謝として伝わったのではないでしょうか。

二人目のスピーカーはSPROUTから駅を挟んだ反対側にある「旅つむぎ」という宿を経営している山田亮さん。
ちょうど1年前にランニングを始め、秋に始めたのですぐに冬になり、雪の中を走り続けました。
そして春になって雪がとけると、住居でもある「旅つむぎ」は、旭ヶ丘という標高約400mの山のトレイルヘッドにあったということに気づきます。
そして、それまでロードを走っていたランニングは、当たり前のようにトレイルランニングとなっていくのでした。

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それまでのトレーニングのようなランニングは、トレイルを走リ始めたことでひとつの遊びとなりました。そして 、シューズとウェアだけで遊べてしまうトレイルランニングは、山田さんが好きだった旅との相性もいいのです。

今年の春に旅をしたイングランド。
そこで実行したのは、イングランド中央部、コッツウォルズ・ウェイでのトレイルランニングです。
素晴らしい景色の中を走る気持ちよさ、コースロストしたり、装備について考えさせられたり、様々なハプニングがありながらもチャレンジして達成した満足感は大きいものでした。
その旅から得たことは、「旅に遊びをプラスするとこれまでの旅をさらに充実させるものとなる」ということでした。

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仕事が落ち着く季節にはまた旅に出るという山田さん。
次の旅の目的地を探すときも、「楽しそうなトレイルはないか?」という視点が生まれ、地図を見るのがより楽しくなったといいます。
スキーやスノーボードだけではない遊びを語れる宿主がいる「旅つむぎ」は、ニセコの楽しみを見つけにくる人たちをさらに幅広く迎え入れてくれることでしょう。

そして、この日はミニマムな山道具を作っているブランド「MUNIEQ」の沼田さんが参加してくれていて、急遽スペシャルコーナーとしてギアの製作者自らがモノづくりについて語るメーカープレゼンが加わりました。

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「『MUNIEQ』とは『minimal & unique equipment』からつくった言葉。
必要な機能を突き詰めていくと、その物はシンプルになる。シンプルなものは収納性に優れる。」

沼田さんは、メインの製品であるミニマルなコーヒードリッパー、「Tetra Drip」について話してくれました。
もともと旅や山遊びをする中でフィールドでコーヒーを飲むことが好きだった沼田さん。「淹れている最中にバランスを崩して倒れたり、しっかりしたものにすると荷物がかさばったり、市販されている携帯用のコーヒードリッパーがどうもしっくりこなかったんです。」
「どこでもお気に入りのコーヒーをドリップして飲みたい!」という思いから考えたのが、薄くフラットにたたむことができる三角形のポータブルコーヒードリッパー「Tetra Drip」でした。
そして、特許を取ってこれを看板商品としてブランドを立ち上げ、10年以上も務めた会社を辞めました。

いつも山でコーヒーを飲むときに使用しているドリッパーには、実は熱い想いが込められていました。
沼田さんが「TetraDrip」を触るときは、まるで赤ん坊に触れるように大切に優しく接しているように感じます。
きっと、一大決心し勇気と覚悟を持ってつくりあげた気持ちが道具への接し方に現れているのでしょう。
そんな沼田さんのブランド「MUNIEQ」に待望の第二子「X-MESH STOVE」が誕生。心から嬉しそうに新しい子を紹介する沼田さんの笑顔がとっても印象的でした。

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今回のハッピーハイカーズバーニセコは、ハッピーハイカーズの発起人である豊嶋さんがいない中での初めての自主開催でした。ニセコのローカル感たっぷりの内容に、突然のサプライズゲストもあったり、たくさんの方の力があってこその素敵な時間となりました。
ニセコのハッピーハイカーズもはじまったばかり。スキーヤーもスノーボーダーもハイカーもトレイルランナーも、夏冬通して様々な遊びが楽しめるニセコでそれぞれが交流しあって、遊びの世界が広がるといいなぁと思います。

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みなさん、次回のハッピーハイカーズバーニセコをお楽しみに!

テキスト/峠ケ孝高 写真/醍醐菜摘、福山晶子、山田亮、峠ケ孝高

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