Echoes

連載僕は山を走り始めた

50歳を目前にランニングに目覚め、
富士山160kmのレースに挑戦するまでの記録。

2マラソンに明け暮れる

image 2017年11月下関海響マラソンより。

自分に合ったシューズ。

鵞足炎が治ってからはロードを走ることの方が多くなった。やっぱり景色が変わるのは楽しい。地面を蹴る感触も自分の足の力で進んでいる実感がある。ロードの練習が多くなるにつれて足に筋肉がつき故障もしなくなった。レース後の疲労もなく、すぐに練習を再開できるようになった。この1年間で約3,000kmくらい走っただろうか。3,000kmというと、本州往復とほぼ同じ距離だ。48歳までほぼ運動をしたことのないおっさんが一年間でこれだけ走ったという事実が、人ごとのように聞こえて信じられない。走れるもんなんだなぁ…。
ランニングはお金がかからないスポーツだと思っていた。しかし、そんなことはなかった。靴難民と呼ばれるほど靴を買いまくった。靴だけではない、インソールと呼ばれる中敷きまでも別に買う始末。故障(この時の僕は鵞足炎)すると普段履いている靴やインソールも原因の一つではないかと疑ってしまう。そして、あれこれと買ってしまうのだ。僕もたくさんインソールを買った。インソールってけっこう高いんですよ。高いのは1万円近くする。ほぼ靴と変わらない値段なのだ。いろいろ試した結果、ゼロドロップ(シューズのヒール部分とつま先部分の地面からの距離が同じ)のALTRAのシューズで、最初から入っているノーマルのインソールがベストだと落ち着いた。(しかしまたすぐ揺れてまた買ってしまうんだなぁ…)

image ・ALTRA INSTINCT 3.5
重たかったが履いた瞬間に一目惚れ!ピッタリだった。これにしばらく高価なインソールを入れて(わざわざフィッティングしてもらって選んだ)いたが、ある時から足の裏が痛くなり、ノーマルのインソールに戻したら痛みが消えた。土踏まずがないのをインソールでカバーしようとしたが、そんなことは必要ないようだ。土踏まずはないが、僕の足の裏は頑丈な筋肉がついていると整骨院の院長さんが言っていた。
image さんざん走りこんだように見えて実は走り方が悪いだけ。
image ・ALTRA ONE3.0
このシューズは履き心地がよく練習用のシューズとして大活躍。山口県向津具(むかつく)半島を走る向津具ダブルマラソン(84km)でもこれで走った。軽いし素足のように走れるいいシューズだったが廃番になりもう手に入らない。オークションでいつも探している。
image ・ALTRA PROVISION 3.0
オーバープロネーション(足首が内側に倒れ込む)を矯正するとのことですすめられたが合わなかった。そもそもオーバープロネーションでもなかった。
image ・ランニング足袋 KINEYA MUTEKI
老舗の足袋やさんが製造している足袋型ランニングシューズ。5mmほどの天然ゴムソールが足袋の底についている。これがかなり気持ちいい!裸足のような履き心地でランニングの基本である“体の真下で着地する”イメージを捉えやすい。
image ・インソール(一部)
扁平足な僕は土踏まずがない。それを補おうとしたが痛くて走れなくなった。何もしなくてもなんともない。

永遠の課題、ランニングフォーム。

ランニングフォームについては某ランニングクラブの監督さんにパーソナルレッスンをしてもらったり、足の速い人に指導してもらったり、みやすのんきさんの本を買いまくったり、それはもういろいろやってみた。が、結局のところその時はわかったようでわからなかった(みなさん、ごめんなさい)。それでも大濠公園を走っていると、自分の体がスイスイと前へ進み、まるで車輪の上に胴体が乗っているように感じる時がある。「今がきっといいフォームなんだ!」
と思うが、そういう感覚は一年に何度もない。いまだに自分のものにできていない。この先のランニング人生の中で会得できるのだろうか…。
ランナー仲間が、「自分が走りやすいフォームが一番いいフォームなんですよ」と言ったのが自分的には一番しっくりくる。あまりもがかずに普通に走り込んでいって自分のフォームを見つけよう。YouTubeで見るケニア人のフォアフットなんて僕には夢の夢。まねするだけ故障の元だ。

image 小出監督の本は良かった。技術的なことより言葉が温かかった。走る気にさせてくれる言葉があふれていた。

マラソンに明け暮れた2年間。

ランニングを始めて最初の2年(2016年~2018年)はマラソンばかりだった。PB(プライベートベスト=自己記録)も大会ごとに縮まっていった。それがモチベーションにもなるし、42.195kmという距離をどうやって走るかを試すのが楽しかった。
どうやって走るかというのは主にペース配分のこと。最初の頃は前半突っ込んで後半失速する初心者あるあるのパターンだったが、やがて前半抑え気味に走り最後まで足を残せるようになった。もう気分はすっかりアスリートだ。こうやって僕のPBは着実に更新されていった。

・2016年11月福岡マラソン(初マラソン)/04:25:41
・2017年2月北九州マラソン/03:50:38
・2017年3月佐賀さくらマラソン/03:53:15
・2017年11月下関海響マラソン/03:43:00
・2018年2月北九州マラソン/03:33:46
・2018年11月福岡マラソン/03:31:25

上記のように2年間で6本の大会に出場した。その間にも2本のハーフも走った。マラソンに明け暮れた2年だった。2回目の北九州マラソンで目標だったサブ4(3時間50分)を達成、その後も少しずつながら更新していった。体重は最初の一年で78kgから65kgまで落ち、今は63kgに安定している。さらに絞ることもできるがあまり絞りすぎると貧相に見えるのでしない。マラソンでは1kg落とすとタイムが3分縮まると言うが、さすがにもうそこまでストイックにはなれない。

image ・asics ターサージール5(北九州マラソン以降)
大会ではasicsのターサージールを履くようになった。とても軽く踵のホールド感も良い。足がスッと前に出ていく感じだ。フルマラソン5レース、ハーフマラソン2レースも履いてたのでさすがにくたびれてきた。

時間と食事。

ランニングの時間が日常に加わった。10kmを走るのに1時間ほどかかる。帰ってシャワーを浴びてストレッチをすると2時間はかかる。この時間を週に5日は確保しなければならない。陽が高い夏場は朝6~8時、秋冬は夜8~10時くらいに走っている。週末は少し長めの距離(20km~)を走っているのでほぼ半日使う。ちなみにジムは雨の日や暑い寒い(笑)など、外を走れない、走りたくない時に利用している。
そして食事に対する意識が変わってきた。脂っこいもの、遅い時間の食事、生クリーム(あんこはやめられない)など、胃に負担のくるものは避けるようになった。逆に野菜や植物性の油(オリーブオイルなど)、果物などフレッシュなものを摂ることを心がけている。急激に血糖値が上がらないように、糖質のあるものは野菜の後に食べる。(コンビニで売っている食品でもうまく組み合わせればそれなりにいい感じになる。)そういう食事をしているとあきらかに体の動きがいい。脂肪を燃焼させる体になるファットアダプトと呼ばれる食事だ。完全にできているわけではないが、レース前になるととくに心がけている。(と言いつつ僕は大のアンパン好き。甘いものが大好きなので、油断すると血糖値上げまくっている)。食事まで気をつけるのはランニングというスポーツが体のパフォーマンスに直結しているからだろう。
こうして、2年間で走ることだけではなく、生活そのものも大きく変わっていった。

image 毎日のように食べているメニュー。セブンのイタリアンカット野菜、ミックスビーンズ、トマト(その時期の旬なもの)、ポテト、ペンネ、生ハム、オリーブにオリーブオイルと塩、ゴマだけ。

2019年12月のレース結果

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2019年12月1日(日)大阪マラソン2019 3時間29分23秒 完走
2019年から新コースになった大阪マラソン。東京につぐ日本では大きな大会だ。今回は「50歳以上で3時間25分以内」の記録を持つ人が優先的にエントリーできる「市民アスリート枠」で出場。まだ本調子ではないので3時間半切りの4分50秒/kmあたりのペースでコツコツ走る。結果3時間29分23秒(ネットタイム3時間27分42秒)。後半落ち込むこともなくペースを保てて楽しく走れた。ボランティアの方たちのホスピタリティーがすばらしく、いい大会だった。また機会があれば出てみたい。

テキスト・写真/石川博己

プロフィール

image台風の中でも山に走りに行くよw

石川博己 HAPPY HIKERS 事務局メンバー。本職の持ち出しでデザインや写真を担当w。本コラムでも書いているきっかけで48歳よりランニングに目覚める。2020年4月に富士山の周りを走る100マイルレース、UTMFに挑戦。果たして完走なるか!乞うご期待w

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