Echoes

連載僕は山を走り始めた

50歳を目前にランニングに目覚め、
富士山160kmのレースに挑戦するまでの記録。

3トレランを知る

さて、このコラム。2020年4月のUTMFまでにそれまでのランニング人生を振り返って(人生というほど長くはないがw)、48歳から始めたランニング(マラソン)から山を走るトレランへ移行していく自分の過程を書き記しておくつもりで始めたのだが、コロナのおかげでUTMFが中止になったため、更新のモチベーションが落ちてしまっていた。

この2年間、レースの参加は激減したが相変わらず走ってばかりの毎日で、いろいろと思うこともあるし、先日、山を走っている時に僕のこのコラムの読者から「自分も遅くから走り始めたので(石川さんのコラムは)励みになる」と声をかけられたので、多少なりにでも人のためになっているのであれば、ちゃんと書いていこうと思う。

UTMFにかわるチャレンジとして直近では「球磨川リバイバルトレイル」という九州初の100マイルトレイルレースで完走したことを、自慢話のように延々と書き連ねようと思ったのだがw、まずは2020年からの空白の2年間を埋めていく流れで進めたいと思う。

という、長い前置きでコラム再開とします。

マラソンからトレランへ

前回までは、「ちょっと走るのが速くなってきたよ」「食べ物とかにも気を使ってるよ」というような話でしたね。そうそう、それはわりとこの時期は続けていて、体重が軽いと単純に速く走れるので食べ物には気を使っていた。
また、大会前にはMCTオイル(※)を飲んだり、アミノ酸系のサプリなどもけっこう摂っていたし、とにかく一秒でもタイムを縮められるのであればなんでもやった。
ランニングをはじめて1年くらいはマラソンばかりやっていたが、マラソンのシーズンは10月から3月くらいまでの秋・冬がメイン。それ以外の春・夏に出れるレースはないものかと探していたらトレイルレースなるものがザクザク出てきた。それがトレランとの出会いだった。

※MCTオイルとは、ココナッツやパームに含まれる「中鎖脂肪酸油(Medium Chain Triglcerides)」だけを取り出した食用油のこと。「運動習慣のある人が継続的に摂取すると運動時に脂肪をエネルギーに変えやすくなる」と言われる。

image トレランはなんと言っても格好がいい!のちに散財するハメになるが…。2021年7月開催の霧島・えびの高原エクストリームより

はじめてトレイルレースは2018年の5月12日~13日に熊本県阿蘇で開催された「阿蘇ラウンドトレイル」。
九州を代表する火山帯、阿蘇外輪山周辺をぐるっとまわる最高のロケーションのコースだ。トレイルレースの魅力はこういった豊かな自然の中を走れることではないだろうか。
僕が出場したのは43km・累積標高2,800m・制限時間12時間のコース。この頃のマラソンのPBが3時間40分くらいだから、多めに見積もって6~7時間くらいでゴールできるのかな?と思っていたら、なんと、、、10時間13分21秒(総合順位127位)もかかってしまった。
アップダウンがあるコースってこんなに時間がかかるんだ…。
累積標高の意味もよくわからず、山練など一度もしたことがないので全く登れない。少し歩いては止まり、膝に手をつきゼーゼー言ってる状態で走るどころではない。お喋りしながら歩いているランナーさんに抜かれる始末。完全にトレランを舐めていた…。
夜にヘッデンを点けて走るのも初めてだったし、真っ暗な山をひとりで走るのも心細かった。
こんな感じで初トレイルレースは、少しばかりの自信をくじかれたのだった。

image トレランレース初参加(2018年5月)。初々しくダセー!!!!!!ツバ短じゃないしww 脚も筋肉がないw
image なんとか完走。半袖着とけよ!

登る練習。

この年は8月26日にもうひとつのトレイルレース、熊本県水上村で開催された「水上マウンテンパーティー」にもエントリー。距離64km・累積標高4,000mという、阿蘇ラウンドトレイルを上回る距離と累積。しかも制限時間も14時間と厳しい。阿蘇ラウンドトレイルから3ヶ月後だ。このままでは絶対に完走できないと知り、ここからが僕のトレイル練がはじまる。

とにかく坂に強くなるしかない!スピードよりも登坂力だ。

ということで、今まで走っていた平坦な大濠公園や百道のシーサイドコースをやめて、僕の自宅がある桜坂(福岡市内でも小高い場所が多く、坂道が多い)周辺で一周6km・累積標高350m程度のコースをつくり徹底的に走った。
マラソンだけやっていた昨年は、クーラーの効いたジムでトレッドミルで走っていた。しかし、今年は暑さに慣れるため、あえて陽の高い時間帯に走った。

image 自宅のすぐそばでありながら、起伏に富むこのコースは、いまでもトレイル練習に欠かせない。

マラソンはなるべくフォームを崩さず、同じペースで走ることを意識するが、トレランはそれぞれの斜度やサーフェイスに応じたスピードと走り方がある。平坦や下りでは走り、上りは斜度によって走ったり歩いたりする。脚の負担を和らげるため、手で足(太腿や膝など)を押して歩く「パワーウォーク」と呼ばれる歩き方や、坂の斜度に合わせた歩幅と姿勢の調整など、しつこいくらい坂練をした。

身体の角度や使い方ひとつで疲労違ってくるのが面白い!

トレイルレースはマラソンよりもはるかに長い時間がかかる。少しでも体力や筋力を温存しないといけない。
ここでの走り込みのおかけで、苦手だった坂道への耐性がつき、持久力もついた。
そしてなんとか制限時間ギリギリの13時間45分でゴールできたのだった!

我ながらよくやった(泣)!

image 13時間45分55秒 完走/総合順位66位(200人中)ゴールで手を振るラン仲間の姿が見えたときには泣けた(嘘)。
image 翌年2019年の同大会では11時間30分53秒と大幅に記録更新!総合順位32位(229人中)、部門順位3位と初入賞を果たす(かなり自慢w)。

マラソンとトレラン、それぞれ違う楽しみがある。マラソンは1秒でもタイム(記録)を更新することを目指す。でも僕のようなもともと走ったことがないオヤジがそんなに速く走れない。しかし、トレランなら登りを鍛えれば勝負ができる。登って登って登りまくればそこそこ強くなる。止まらなければ歩いていてもいいタイムに結びつくのだ。

トレラン、マジたのしいぞ!

そんな感じでマラソンよりもトレランに傾倒しはじめるわけである。

image 2018年11月25日開催の八幡カントリーレース(年に2回行われる)。Tシャツ1枚しか持っていないみたいだw

阿蘇ラウンドトレイル
https://universal-field.com/event/asoroundtrail/

水上マウンテンパーティー
http://tracksession.org/mmp/

カントリーレース/八幡山岳会
https://country-race.amebaownd.com

2021年7月・最近のレース結果

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2021年7月24日(日)霧島・えびの高原エクストリーム
(距離: 約63km・累積標高: 約3,400m・制限時間: 14時間)9時間19分03秒 完走

このコース、けっこうロード・林道区間が多い。峠走がめっぽう苦手な僕は前半でもう完全に脚が売り切れてしまった。いつもの山練では20kmそこらで脚が攣ることなんてないのに、この時は前半20kmそこらで痙攣してしまっていた。後半はもう脚攣り祭り。2~3km走っては攣るの繰り返し。もう少し峠走をやっておけば良かったと後悔した。もう二度と出たくないw

えびの高原エクストリーム
https://universal-field.com/event/kirishima-ebino-extr/

テキスト・写真/石川博己

プロフィール

image台風の中でも山に走りに行くよw

石川博己 HAPPY HIKERS 事務局メンバー。本職の持ち出しでデザインや写真を担当w。本コラムでも書いているきっかけで48歳よりランニングに目覚める。2020年4月に富士山の周りを走る100マイルレース、UTMFに挑戦。果たして完走なるか!乞うご期待w

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