Echoes

連載僕は山を走り始めた

50歳を目前にランニングに目覚め、
富士山160kmのレースに挑戦するまでの記録。

4変態への道

image シャツの袖もズボンの丈もすっかり短くなってしまった。

ほどほどじゃ済まなくなる。

48歳までろくに運動をしてこなかったおっさんでも愚直に走り続ければ走れるようになるもんである。
「あ~これは軽いメタボですね。運動してください」とお医者さんに言われた日が遠い過去のように、MAX池中玄太80キロだった体重も今では63キロだ。相変わらず足は遅いがトレイルランナーたちの大きな目標である100マイル(160km)レースも完走し、ちまたではマイラーと呼ばれるまでになったw。

しかし度が過ぎるランナーたちはしばしば「変態」と呼ばれる。

走る前までは「偉業」と思えたマラソン完走も、今では「僕、(マラソンを)完走しました」って聞いても「へぇ~」って感じ。「サブフォー」と呼ばれる4時間を切ったと聞いても「へぇ~」って眠た目で聞き流す。
感覚が鈍化したのは自分が走れたからじゃなく、まわりのランナーたちが凄すぎるのだ。
「サブスリー」と呼ばれる、マラソン人口の3%しかいないはずの3時間切りランナーもまわりに何人もいる。3%がこんなに集中するってどうよ。
俺が命からがら達成した100マイルも、何度もやっている人もいれば、自主練で毎月やっている人たちもいる。信じられない。

確かにそういう人たちの練習を見てると、速かったり強かったりするのもうなづける。言い方が悪いがエグい。
一回でも途中で歩きたくなる峠走を何往復もしたり、ひと晩中山を走ったり、車でも嫌になるほどの距離を走ったり、雨でも走るし、普通の人なら、今頃コメダ珈琲のかき氷を食ってるよねという灼熱の昼間でも走っている。
梅ヶ枝餅食べに走って福岡市内から太宰府へとか、うなぎを食べに唐津へとか、わけがわからない輩もいる。

image この格好でトレイルを駆け抜けるツワモノも・・・。(写真は有名ランナーさん @HiH さん/instagram

ランニングをやってると、そういう〝度〟を超した「変態」たちがまわりにうじゃうじゃと現れ、20~30km走るなんて毎週末やってるよね程度で普通。いつしかそういう感覚に慣れてしまい、気がつけば2年連続元旦に、福岡から実家の田川までの50キロ超を、Tシャツ短パンで雪降る2つの峠を越えて帰るという始末。これが楽しいと思えるから、もう俺も変態なのかもしれない。

image 大濠公園を100km(50周)走るという草イベントもやった。今では南公園内を50マイル(80km)走ったりもしたが、もう大したことではない。

もう、ほどほどにしたい。

トレランの練習は自宅近くの坂をつなぐコースだったが、山の経験値を上げるため2020年6月からリアル山トレを開始。自宅から西へ車で約30分ほどに飯盛山という標高382mほどの山がある。その山からラウンドできる連なり(僕らはおかず連峰と呼んでいる)があり、一周すると距離約13km・累積1,200m程度になる。

叶獄駐車場登山口よりスタートし、叶獄~高地山~飯盛山(下って登り返し)~高祖山~鐘撞山~叶獄駐車場で一周。距離13km・累積標高1,200mほどになる。一周約2時間半(最初は4時間くらいかかっていた)でまわる。

image 飯盛山頂から見た日の出の写真
飯盛山頂からの日の出。夏は夜明け前にスタートして山頂より日の出を見るのがオススメではあるが、起きれないのでほとんど見たことがない。
image 飯盛山頂から見た日の出の写真
こちらはおかず連峰の鐘撞山からの眺め。西の方角に海があり夕暮れ時はサンセットが見れる。

勾配のきつい上りやテクニカルな下り、小刻みのアップダウンが続くが走れるところも多く、練習するにはもってこいのトレイルだ。さらに嬉しいのは水場が何箇所もあること。それに水捌けのいいサーフェスで前日雨でもドロドロにならない。13kmで駐車場に戻ってこれるので補給もでき、体力の続く限り走り続けることができる。
この最高のトレイルを知ってからは、ほぼ毎週末来ている。最初は一周もキツかったが今では「IIMORI2000」と称し、累積標高2,000mを獲得するまで走っている。そしてさらに、「IIMORI3000」「IIMORI4000」と強度は増しつつある・・。 変態街道まっしぐらである。

メタボが解消できればいいはずのランニング。変態までならなくても良かったんだけどなぁ~。

image このコースは280mほどの上りポイントが3箇所あって、かなりの強度だ。上りが強くなるよ~。
image 晴れた日の眺望は素晴らしい。風もよく抜け景色も良い。天気の良い日でもトレイルは日陰が多く最高に走りやすい。
image 夏は水場で全身浴びる。水道代を払わないといけない・・。
image 一時期はこんなに参加者がいたが今ではほとんどボッチ練だ。一緒に走ろうよ~。

今では高祖神社へ降りて登り返す一周15km・累積標高1,500mという、さらにキツいコースにバージョンアップ。叶獄神社、飯盛神社、高祖神社と三社参りできる縁起のいいコースでもあるw。このコースを2周するとIIMORI3000になる。

アスリートのためのSNS、STRAVA内にランニングクラブがあるのでぜひ参加を!
https://www.strava.com/clubs/7trails

2022年3月・最近のレース結果

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2022年3月20日(日)16回九千部山トレイルランニング
(距離: 約10.3km・累積標高: 約680m・制限時間: なし)1時間42分38秒 完走

ランニング仲間が開催しているトレランレースで、運営からランナーまで知り合いがたくさん出ていて仲間内の草レースのような大会だ。10.3kmながらゴール後の食事も充実していて、入賞(1~3位まで)すると景品まである。大きな大会もテンション上がって良いけど、こういう手作り感覚のアットホームな大会は走っていて心地よい。この日は球磨川リバイバルトレイルの疲れがいまいち癒えずファンランだったけど、終始友達と喋りながらで楽しかった。

九千部山トレイルランニング
https://9senbu.org/

2022年5月・最近のレース結果

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2022年5月29日(日)第5回 MIZUKAMI MOUNTAIN PARTY〈ショート〉
(距離: 約25km・累積標高: 約2,000m・制限時間: 7時間)4時間0分15秒 完走

熊本県水上村で開催されるこのレースは、ランニング仲間の王子(こと谷口くん)の故郷ということで、コロナによる中止や延期のあった年を除きほぼ毎回出ている。いままではロング(過去の大会では距離64km・累積標高4,000m)だったが、かなりキツいのでw、今年はショートにした。MMP(このレースの略称)は地元のホスピタリティが素晴らしく、エイドも含め九州一のトレランレースではないかと思う。今回も安定の地元の方の温かさだった。このレースは毎回出場したい。

MIZUKAMI MOUNTAIN PARTY
https://tracksession.org/mmp/

テキスト・写真/石川博己

プロフィール

image台風の中でも山に走りに行くよw

石川博己 HAPPY HIKERS 事務局メンバー。本職の持ち出しでデザインや写真を担当w。本コラムでも書いているきっかけで48歳よりランニングに目覚める。2022年に熊本で開催された100マイルレース「球磨川リバイバルトレイル」にて悲願の100マイルレースを完走。ちまたでマイラーと呼ばれるw

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