Echoes

連載買うなら登れ!

ハイク初心者に贈る、はちゃめちゃ山&散財記録。
買うなら登れ、まずは減価償却!

12020、山はじめました。

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千里の行も足下に始まる

最初に言っておかなければならない。

「山のこと、なんにも知りません。
 山が好きなの? と聞かれても、
 正直、よくわかりません」

こんな私が『Happy Hikers』に寄稿して良いものか……。
Iさんに打診され、何も考えずに「いいよ〜」と安請け合いした自分が悔やまれる。しかし、受けたからにはやるしかない。オリンピックイヤーでもある2020年。私も何か挑戦しなきゃ。こうなったらHappy Hikersにふさわしい素敵ハイカーを目指そうじゃないか。
これから書き散らかす文章は、山の猛者の皆さんには1円の得にもならないだろう。ただ一つ、存在価値(希望)を見いだすとすれば、「なんか楽しそうだし、なんかカッコイイし、なんか興味あるんだよね」私と同じようなハイク初心者の皆さんにお届けできればうれしい。
千里の行も足下に始まる(せんりのこうもそっかにはじまる)——と、老子も言っている。ここは可能性の登山口。失敗したり、迷ったりしながら、まだ見ぬ風景を求めて、一歩一歩進んでいこう。

image 写真を撮っていると、必ずやってくる……。

ということで、まずは道具でしょう!

山に行くと決めたら、まずは道具だ。欲しいと思ったら辛抱できない、人として致命的ともいえる性分(病)とともにウン十年。稼いだお金を惜しみなく社会に還元し、仕事部屋はもはや倉庫のようなありさまだが、だって性分(病)なんだもの。どうしようもない。

image どうしても欲しいものがあった時に……ついに、豚の腹を割いてしまった。
image 内臓、しめて85,000円ナリ。

私はハイカーではないが、「ランナーです……」と小声でいえる程度の経験は持ち合わせている。ランニングは、シューズ、ウエア、時計があればいい。数あるスポーツの中でも群を抜いて低コストだ。走り始めの頃は、適当なジャージ上下、A○Cマートで買ったなんちゃってスニーカーで十分だった。しかし、多くのランナーが身に覚えがあるように、やればやるほど「高機能ウエア、要るよね」「新しいウォッチが出たげな!」「NI○Eのあのシューズ、頑張ったご褒美にしちゃおうかな〜」などなど、湯水のように万札が消えていく。やることが地味な分、モチベーションアップとして散財に拍車がかかっている気がしてならない。さらにマラソンとトレイルでは「イケてる」とされるギアやブランドが異なるため、ソレ用に……とそろえているうちに散財沼にしっかりはまっている。

閑話休題。昨年は自分史上、最も山に行った。得意のノリと勢いでトレイルレース(阿蘇ラウンドトレイル・ハーフ55km)にエントリーしたものの、力不足にてあっけなくDNF(途中棄権)……。悔しいわ、悲しいわ、恥ずかしいわ、「ああ、山をなめていたな」さすがの私も反省した。まだまだレースは続くし、これじゃ格好悪いぞ、と。ちょっと前までは「山? いやいや、自然とか全く興味ないし、暑い寒いとか無理」などと悪態をついていたが、さすがに毎週のように野山にまみれていると、おやおや?「山、わりといいかも!」と心境の変化を感じた。と、書いてはみたが「自然が大好き」の境地にはほど遠く、「山を含むアウトドアシーンおよびギアへの興味の増進」の方が正解。そう、持病である「買いたい病」が発症したのだ。

もはやピーク!? 買いそろえる楽しさよ

山系の友人にリサーチしまくり、本やネットもこまめにチェックし、これを持っていれば間違いないシリーズでそろえた(つもり)。『山と道』のザック(THREE)とメリノキャップ、『NEMO Equipment(ニーモ・イクイップメント)』のテント(タニ1P)とグラウンドシートとスリーピングパッド、『mont-bell(モンベル)』のスリーピングバッグ(ダウンハガー650#3)、『PRIMUS(プリムス)』のバーナー(P153)&クッカー……その他いろいろ。数カ月かけて少しずつ買い足し、思うところのコンプリートと相成った。いやらしい話だが、今回の「豚の内臓」程度ではまったく足りなかった。

image かっこいいじゃないか。ご満悦。

1カ所に並べて悦に入る。一式詰めて背負ってみる。紛れもなく素敵ハイカーじゃないか! 思えば、ここがピークだった気がする。そこで、あらためて気づく。「素人が山でキャンプできるシーズン、終わってやしないか?」。秋の終わり、友人に「くじゅうでテン泊するけど、来る?」と誘われたが、少し前に日帰りで登った時ですらかなりの寒さで、「行きたいけれど、あの寒さに耐えうる装備がない」と断ったのだ。コンプリートのタイミング、1カ月遅かった模様。

丘キャンパー? 海キャンパー?

このままだと全く使わないまま興味がうせるぞと危機感がよぎり、急遽、油山キャンプ場の片隅でバーナー訓練へ。ガス栓をひねる、カチッ……終了。カップ麺とコーヒーはおいしかったが、これでおしまいなのかもしれない。キャンプ道具一式、部屋の片隅で冬を越すことになりそうだ。丘サーファーならぬ、丘キャンパー? え、この場合だと海キャンパー? どうか春まで熱が冷めませんように……。

image カップラーメンがご馳走に思えるなんて!

そんな折、母より電話。「家の倉庫を断捨離したいんだけど、あんたのいろいろ捨てていいかね。スキー、スノボー、ショートボード、テニス、ゴルフセット……」だったよ、だったね。今回こそは「実家ブラックホール」行きにしないよう、まずは一回でもキャンプに行こうと思う。暖かくなったら行くよ、絶対に行くから! とりあえず宣言してみる。

<買ったもの>
・山と道/THREE・Size M 40L(¥27,500)
・山と道/Merino Cap・Size M(¥4,500)
・NEMO Equipment/TANI1P(¥50,000)
・NEMO Equipment/フットプリント(¥4,300)
・NEMO Equipment/スイッチバック・ショート(¥5,000)
・mont-bell/スリーピングバッグ・ダウンハガー650 #3(¥21,500)
・PRIMUS/153ウルトラバーナー(¥9,000)
・PRIMUS/イージークックNS(¥3,600)
・PRIMUS/ガスカートリッジ(¥450)
合計金額・・・¥125,850 ※2020/1現在。あくまで目安金額です

<登った山>
油山 ※キャンプ場まで(福岡)

<本日のコスト> ※合計金額÷登山回数として換算
実は油山まで車で行ったので……ノーカウント!
登山1回あたり・・・・¥125,850
◆ 独り言:ハワイに行けましたね……泣

テキスト・写真/古川カナエ

プロフィール

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古川カナエ 2009年、乳がんが発覚。「このままヘタってなるものか」と景気づけに富士山に挑戦。そのまま登山にハマるかと思いきや、勢いあまってランニング&トレイル方面へ。買い物大好きインドア派、果たして素敵ハイカーへと登りつめることができるのか!? ハイク初心者に贈る、はちゃめちゃ山&散財記録。
フリーライターたまにアクセサリー作家。お酒と猫とカレーが好き。

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