Echoes

連載買うなら登れ!

ハイク初心者に贈る、はちゃめちゃ山&散財記録。
買うなら登れ、まずは減価償却!

5“悪夢5本立て”との戦い

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そこは外なのである。

いきなりですが、
みなさん、眠れていますか?

正確にいうと「キャンプで“テン泊”する際、眠れていますか?」。冒頭でわざわざたずねるってことは……はい、私、眠れません。暗いのが怖い、虫が無理、おばけが出たらどうしよう、そんなことはどうでもいい。

寒いの、イヤ!

それに尽きる。頑丈なテントを立てても、雨風の影響を受けにくいキャンプ場でも、紛れもなく「外」だ。こと山間部では、天気予報では晴れだったのに雨がザーッ、5月の連休にくじゅうでは雪が降ったそうじゃないか。

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image キャンプの夜は楽しい。焚き火をしたり、山飯を食べたり、焼き芋も最高。この気分のまま朝を迎えられればよいのに……。

フロント9番に電話ってわけにはいかない。

忘れもしない昨年の夏の終わり。友人たちと坊ガツルにキャンプに行った。秋の気配は感じるものの、日中は半袖でも汗ばむほど。深く考えずに、夏の軽装備で登ってしまった。これが、地獄のはじまりだったのだ。

食事も終え、軽く飲み、明日も早いし寝ましょうかとテントに入った。アルコールも入っているし、基本的にすぐ眠れるたちなので、この時も知らない間に眠りに落ちていた……おやすみなさい①。

なーんか、寒い気がするんですけど……。

旅館やホテルであれば「すみませーん。毛布くださーい」と9番に電話すれば、夜勤スタッフが持ってきてくれるだろう。でも、ここはテン場だ。標高1235mの坊ガツルだ。「ウインドシェルあったよね。レインもあるはず」ガサゴソとザックをあさり、上着っぽいもの着てみる……おやすみなさい②。

やっぱり、眠れない!

「明日着るTシャツもあった。ソックスも重ねよう」ありったけの衣類を総動員。うん、寒いのはきっと気のせい……おやすみなさい③。

あ゛あ゛目が冴えてきたー。

時計をのぞくと、午前2:00を少し過ぎたあたり。まだまだ夜は長い。

image シュラフはモンベルのダウンハガー650#3。九州であれば春~秋の3シーズン使える。それにNEMOのシートが基本装備。

このままでは凍死するぞ!

このままでは凍死するぞ!……は大袈裟にせよ、眠れないばかりか風邪を引いてしまいそう。もはや我慢している場合ではない。「あの……すみませーん。起きて……るわけないですよね。寝て……るに違いないですよね」ちょっと離れた場所にテントを張っている友人に助けを求めた。「じゃ、コレ貸してあげますよ。ムニャムニャ。あ、これもどうぞ。ムニャムニャ」ありがとうございます、恩に着ます! ということで、夜な夜なお借りしたのがコチラ。

■ SOL(ソル)エスケープライト ヴィヴィ
image 夏の盛りであれば、これ一枚で眠る人もいるほど。性能のいいアルミ箔な感じ。

SOLはエマージェンシーグッズのトップメーカーで、ピンからキリまでいろいろな商品がそろう。山を始めるに際して、真っ先に言われるのは「エマージェンシーシートは持っていかなよ」である。本音を言うと、口では「ですよね~」といいながらも、内心は「いらんやろ~」だった。いわゆる想像力の欠如。体験したことがないので、ピンとこないのである。

エスケープライト ヴィヴィは寝袋タイプで、防水・伸縮性はないものの保温性は高い。単品ではもちろん、シュラフ(寝袋)カバーとしても使えるので、今回の様な気温変動が大きいときに役立つ。

助かった気がする……

着ぶくれ団子のままシュラフに包まり、さらにヴィヴィに潜り込む。毛布とまでいわずとも厚手のバスタオルをまとったぐらいの暖かさを感じる。ファスナー付きでコードを締めれば密閉感も増すので、あるのとないのでは大きな違いだ……おやすみなさい④。

さらに幸福度を高めたい方へ。

■ SEA TO SUMMIT(シートゥサミット)のエアピロー

image 長時間移動や車中泊でも便利。防災グッズの中に忍ばせておいても良いと思う。

ウルトラライト系ピローの代表格「SEA TO SUMMIT」のエアピロー。4~5吹きでパンと膨らみ、しかもバルブが秀逸。空気の逆流を防ぐ弁がついていて、息を吹き込んだあと口を離しても空気が漏れない。

幸せ、ついにきたかも……

ステージレース帰りの友人が「枕はあった方がいいよ~」と力説していたことを思い出した。うん、幸福度が断然違うよ……おやすみなさい⑤。

地味だけど良い仕事するやつ。

睡眠に特化したものではないが、メリノウールのベースレイヤー(アンダーウエア)もおすすめしたい。ウールなので若干チクチクするし、厚ぼったくて地味。なのに、二度見しちゃうような金額だったりする。ブランドのウエアやカッコイイギアばかりに目が行き、「メリノ……うん、今度でいいか」とついつい後回しにしがち。

でも、人もギアも見た目じゃない。支持されるのには理由があるのだ。暖かくて涼しい。厚みで夏冬使い分けるが、体温調節はもちろん、気になる臭いもカットしてくれる。友人いわく「数日お風呂に入れなかったけど、メリノだと臭くならないですよ!」嗅ぐ勇気こそなかったが、信じてみよう。

空が明るくなってきた。もはや夢か現かわからない状態だが、長くて寒かった夜が明けようとしている。ああ、助かった。テントの内ジップを開けた時の開放感、そして安堵感ったら……これぞ醍醐味だと思うけれど、その境地にたどり着くまではもう少し時間と経験が必要そうである。

テン泊快眠の三種の神器。

・温度調節用シュラフカバー
・エアピロー
・メリノウールのベースレイヤー

私にとってテン泊快眠の三種の神器。絶対に必要なものではないけれど、絶対に持っていくようにしている。せっかくの楽しいテン泊。悪夢5本立ての最悪な目覚めとか、もう懲り懲りだもの。

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<買ったもの>
SEA TO SUMMIT(シートゥサミット) エアロプレミアムピロー¥4,400 SOL(ソル) エスケープライトヴィヴィ 12517 ¥6,100 ロングスリーブクルー200メリノウール ¥9,800 ※計上済 タイツ200メリノウール ¥9,800 ※計上済

合計・・・¥10,500

総合計金額・・・¥415,312  ※2021/5現在。あくまで目安金額です

<登った山>
0_油山 ※キャンプ場まで(福岡)ノーカウント
1_くじゅう(大分)
2_背振山(佐賀)
3_雷山・井原山(福岡)
4_くじゅう(大分)
5_赤村(福岡)
6_古処山(福岡)
7_くじゅう(大分)
8_くじゅう(大分)
9_阿蘇山(熊本)
10_皿倉山(北九州)
11_宮島(広島)
12_福智山(北九州)
13_阿蘇山(熊本)
14_宝満山(福岡)
15_宝満山(福岡)
16_英彦山(福岡)
17_可也山(福岡)
18_宝満山(福岡)
19_三日月・立花山(福岡)
20_糸島四座(福岡)
21_三日月・立花山(福岡)
22_犬ヶ岳(福岡)
22_鶴見岳(大分)
23_三日月・立花山(福岡)
24_三日月・立花山(福岡)
25_犬ヶ岳(福岡)
26_三日月・立花山(福岡)
27_太郎丸岳次郎丸岳(熊本)

<本日のコスト> ※合計金額÷登山回数として換算
登山1回あたり・・・・¥15,381

◆ 独り言:やっと2万円を切った! とはいえ、紹介していないものいっぱい……沼から出られるどころか、首まではまっている状態。

テキスト・写真/古川カナエ

プロフィール

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古川カナエ 2009年、乳がんが発覚。「このままヘタってなるものか」と景気づけに富士山に挑戦。そのまま登山にハマるかと思いきや、勢いあまってランニング&トレイル方面へ。買い物大好きインドア派、果たして素敵ハイカーへと登りつめることができるのか!? ハイク初心者に贈る、はちゃめちゃ山&散財記録。
フリーライターたまにアクセサリー作家。お酒と猫とカレーが好き。

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