Web Magazine for Kyushu Hikers Community
ハイク初心者に贈る、はちゃめちゃ山&散財記録。
買うなら登れ、まずは減価償却!
気を抜くと、すぐに間隔があいてしまう。
その間はというと、近場の山々をうろうろしてみたり、トレイルの大会があるぞと付け焼き刃で練習して捻挫してみたり(長らく山行中断)、これといって特筆すべきこともなかった。あらかたギアもそろってきたし、買い足すものもウエアぐらいで、あとは減価償却に励むのみ。
「このコラム、終了でよくない?」と思っていた矢先……
「私は表銀座を縦走してきたよ」
「立山から入って剱岳にアタック!」
「ジャンダルムを制覇した」
山仲間との会話。山初心者の私にとって「北アルプス=玄人(ベテラン)」……そんなイメージだった。「へー、すごさー」「ほー、よかねー」と憧れこそあっても、全くもって“自分ごと”ではなかった。正直なところ「日本の真ん中あたりに、だーっとある山脈」程度の知識しかなく、地理や規模感もまるで掴めていなかった。
「ねぇ、北アルプスに行こうよ!」
「へっ、私と?」
ちなみに、九州以外の山に(ちゃんと)登ったのは、10年前の富士山ぐらいか? それもツアーだったし、山の知識なしで付いていったにすぎない。乳がんが発覚し、悔しまぎれに勢いだけで突っ走り、何十万円もかけて登山道具一式そろえたあげく、それっきりタンスの肥やしにしたんだった。
山の相棒と2人、ファミレスのテーブルいっぱいに地図を広げ、「どこにする」「う〜ん、わからん」「大キレットは無理よね」「槍まではいけるんじゃない」「じゃ、槍にしようか」、、、ひ、ひどすぎるw この無邪気さ(無知さ)も後に笑い話になっていると信じたい。ということで、目的地は「槍」こと「槍ヶ岳」に決定。ちなみに標高は3,180m。山域は中部山岳国立公園に指定されており、日本で5番目に高い山、、、今、wikiで調べた。
さて、ここまでが前ふり。これからが、コラムの本筋である。
「だったら、買わなきゃ!」
スイッチ、オン。湧き上がる物欲よ。この期におよんでなんだが、山に登る喜びと買い物スイッチが入る瞬間の熱量を測定すると、あきらかに後者が高いと思われる。北アルプスという晴れ舞台、妥協は許されない。「必要なアイテムはあれでしょ、これでしょ」「さて、何着て行こうかな」9月上旬時点で、買い足したアイテムはコチラ!
軽量性(160g)と保護性能の両立を求めるクライマー・登山者用のヘルメット。
「ぶらんぶらんしていると危ないし、ダサいですもんね」と店員さん。
ALTRAのトレイルシューズ「ローンピーク」のハイカットバージョン。クッション性が高く、足首保護と砂などが入りにくい。
ドライサックとコンプレッションサック(圧縮)を融合させたインナーバッグ。
内側にはベルクロとドローコード付き。雨によるザックへの浸水をカット。
最近北アルプスに行った人が「熊がいて1時間以上足止めをくらった」とのことで。
ざっと、こんな感じだ。3泊4日、初・北アルプスであること、冬用装備が不十分だったことで、安心・安全を優先し全て山小屋泊にした。テントやシュラフ、食料の用意がいらない分、普段のテン泊に比べるとずいぶん荷物は減るけれど、2,500〜3,000m級の山々をまるまる4日間活動することになるので、コンパクトかつ軽量なパッキングこそが山旅の快適さの鍵を握る……そんな思いは次第に恐怖となり、想定はしていたものの、分かりやすく買いすぎてしまった。
歩荷練習をかねて、久しぶりに坊ガツルでテン泊を試みた。普段使っている大きめのザックだったが、どうも……いや、うすうす気づいてはいたが、私の体型にあきらかに合っていない。身長158cm中肉中背、肩幅が狭く手足が短い、THE 日本人体型である。UL系のザックの良くも悪くもざっくりとした作りにフィットしない(対応できない)体型なのだ。
「なんか、息が苦しいんだけど……泣(重心がフロントベルトにかかっている)」「なんか、体幹がユラユラするんだけど……泣(腰ベルトがなくて不安定)」「これじゃ槍どころか、途中でダウンしそうなんだけど……泣」この期に及んで、肝心要のザックで躓くなんて。ああ、どうしよう。
各メーカーがこぞって小柄用のザックを出しているのも知っている。もちろん「体型に合うこと」がザック選びの基本中の基本だってことも分かっている。でも、でもね。気に入ったもの、テンションがあがるものを身につけたいの! そこは妥協したくないの!
とはいえ、欲しいガレージブランドのものは欠品、もしくは数か月待ちなんてザラ。近郊のショップを巡るも売り切れ、全国のショップやwebサイトを探すも、とにかくない、ない、ない!!! 半ば諦めかけたとき、「おすすめの商品が出品されました」某フリマアプリから連絡あり。なんですとぉ〜。出品されたばかりで価格も良心的(プレミアがついて高額で取引されている)。もうこれは、買うしかない!
ということで、 ドーーーン!
最後の最後、新ザック投入!
アメリカのブランドだが、Small(背面長サイズ:38.1-43.2cm )展開している。一般的な2400(45L)よりさらに大きい3400(55L)だが、重さは1kgを切る996gでかなり軽い。丈夫なDyneema®を使用し、ほぼ100%防水仕様だ。
お値段、、、、¥55,000!
はらはらと飛んでゆく諭吉さんに泣きたくなったが、北アルプスで泣くのはもっとゴメンだ。「山から帰ったら、しっかり働こう」カード明細を見ながら誓った。ちなみに夫には、この金額は言っていない。
<買ったもの>
PETZL シロッコ ¥15,400 MILLETヘルメットホルダー¥1,650 ALTRA LONE PEAK Hiker¥19,800 SEA TO SAMMIT(20L)¥2,970 karrimorレインカバー¥3,960 COGHLANSベアベル¥660 Hyperlite Mountain gear NorthRim "White"3400(55L)¥55,000
合計・・・¥99,440
総合計金額・・・¥514,752 ※2021/9現在。あくまで目安金額です
<登った山>
0_油山 ※キャンプ場まで(福岡)ノーカウント 1_くじゅう(大分) 2_背振山(佐賀) 3_雷山・井原山(福岡) 4_くじゅう(大分) 5_赤村(福岡) 6_古処山(福岡) 7_くじゅう(大分) 8_くじゅう(大分) 9_阿蘇山(熊本) 10_皿倉山(北九州) 11_宮島(広島) 12_福智山(北九州) 13_阿蘇山(熊本) 14_宝満山(福岡) 15_宝満山(福岡) 16_英彦山(福岡) 17_可也山(福岡) 18_宝満山(福岡) 19_三日月・立花山(福岡) 20_糸島四座(福岡) 21_三日月・立花山(福岡) 22_犬ヶ岳(福岡) 22_鶴見岳(大分) 23_三日月・立花山(福岡) 24_三日月・立花山(福岡) 25_犬ヶ岳(福岡) 26_三日月・立花山(福岡) 27_太郎丸岳次郎丸岳(熊本) 28_くじゅう(大分) 29_湯川山(福岡) 30_霧島(鹿児島・大会) 31_杵島岳(熊本) 32_井原山(福岡) 33_くじゅう(大分) 34_三郡縦走(福岡) 35_立花山(福岡)
<本日のコスト> ※合計金額÷登山回数として換算
登山1回あたり・・・・¥14,707
◆ 独り言:追加散財した割に、前回の¥15,381→¥14,707から微弱に減っているのは、単に登った山の数が増えたせい。というか、更新をサボっていたせい。最終回に向け、散財もラストスパート!
テキスト・写真/古川カナエ
プロフィール
古川カナエ
2009年、乳がんが発覚。「このままヘタってなるものか」と景気づけに富士山に挑戦。そのまま登山にハマるかと思いきや、勢いあまってランニング&トレイル方面へ。買い物大好きインドア派、果たして素敵ハイカーへと登りつめることができるのか!? ハイク初心者に贈る、はちゃめちゃ山&散財記録。
フリーライターたまにアクセサリー作家。お酒と猫とカレーが好き。