Echoes

連載僕のULモノローグ

ハイキングスタイルやギアのこと、
ウルトラライトハイキングにまつわる僕のつぶやき

1ウルトラライトハイキングを楽しもう

広大な大地、とにかく広大だ。そこには髭面でイカした男たちや、ボサボサで乱雑なおさげ髪が似合う女性達。そして、多くがメッシュのついたバックパックを背負って歩く彼らの足取りは軽そうだ。こんな遠くの国々のリアルタイムの風景がSNSを経て僕のスマートフォンに届く。

『ウルトラライトハイキング』というスタイルにいまさら説明もいらないと思う。僕のお手本のような彼らのバックパックの中身や身に着けているモノは、ただ重量が軽いだけの道具を集めたわけじゃない。
それらは、ひとつひとつどれをとってもみても、自分で考え、組み合わせ、工夫して生まれたアイデアの集大成だ。そして、最も大切なのは、これでどこまで歩いていけるのかということだ。すなわち、しっかりと自分のハイキングスタイルになっているということだと思う。

そんなハイキングをしたい。そうやって日本の山を歩きたい。僕は、いつもそう思っている。

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11月の初め。九州の低山ではちらほら紅葉した葉が落ち始める頃だ。そんな季節に唐津から基山まで約80キロ続く背振山地を2泊3日の計画で縦走をした。
脊振山地は、福岡県と佐賀県の県境にまたがる400mから1,000mほどのピークが連なる山地で、九州自然歩道の一部にもなっている。

ウルトラライト(以下UL)装備でハイキングをするにはとても気持ちのいい時期。ハイキング中の行動の快適さを重要視するULハイカーは、とにかく短パンやランニングパンツ、そしてアルトラなどのトレイルラン用スニーカーを好む。アルトラは僕も大好きな靴だ。
これくらいの時期になれば、低山でも短パン姿には大敵であるイヤな虫も少ないし、蚊帳のようにかさばって持ち歩きたくない余計な道具も減らすことができて歩きやすい季節と言える。

しかし、そうは言っても日が暮れると低山といえどもかなり冷え込むわけだし、雨が降ってくるかもしれない。もちろん、季節に関わらず道にも迷ってしまう恐れだってある。軽くしたいからといって、装備を誤り最悪の事態に陥るわけにはいかない。
やはり、必要最低限のものはリストに入れておくべきだろう。

第1回目の今回は、まずは背中に乗っかる荷物のざっくりとしたお話からw。
この山行の荷物のトータルウェイトは5.6kgとなった。これは、水、食料、キャンプ道具一式から財布までの背負うであろうすべてのものを含めた重さだ。
ULのパッキングの話になると、ベースウェイトと言われる、水、食料、燃料など消耗品を除く重量が基準での話になりがちだ。しかし、日本で日帰りや数泊のハイキングでウルトラライトを実践するのであれば、やはり総重量を出してみることをおすすめします!
だって総重量が重かったら意味無いじゃない?^^

image 自身が使っている道具をひとつひとつ打ち込む事でリストを作成することができる無料のサイト。
ライターパック
image このリストは、僕が今回実際にハイキングした時の大まかなパッキングリストなんだけれど、もっとしっかり打ち込めばさらに細かくリスト化することもできる便利なフリーサイト。
https://lighterpack.com/r/8oqr9v

まるでロールプレイングゲームでの装備ステータスのような数値をサイトにアップして、友人と共有したり道具についてキャッキャするのも大変面白いと思う。

image これが実際のパッキングしているものすべての写真。これに水と食糧が加わればパッキングの完成である。

ULのパッキングには、象徴的なアイテムがいくつかある。シングルウォール(一枚壁)のテント、背中の開いた寝袋(キルト)、フレームレスのザックが代表的なところか。 次回からは、そういった道具の話も取り上げていきますのでよろしくお願いします^^

前述したSNSの話のように、僕は海外から入ってくるハイカーたちとの情報のやり取りが好きだ。それはハイキングの事だけではない。ハイキングスタイルやギアのこと、MYOG(メイクユアオウンギアといって自分で道具を作ったり工夫すること)についての話をしたり、個人的にパッキングリストをやり取りしている人もいる。そういった世界中のハイカー達とのやり取りを含めたすべて、それが、僕のハイキングだ。
世界中にいろんな人(ハイカー)がいる中で、みんなが「#ultralightbackpacking」や「#ultralighthiking」という共通項を見出し、それらを共有してるハイキングスタイルをもっと伝えられたらなあ、楽しんでくれるといいなと、僕は、思っています。

テキスト・写真/吉田亮太郎

プロフィール

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吉田亮太郎(よしだ・りょうたろう) インスタグラムでは「moss_hikes」の名前でULバックパッキングを全力模索中。
半分に切った歯ブラシ、背中の空いた寝袋、中途半端な長さのペラペラなマット。
すべて満たされてはないけれど、私は元気です。

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