Web Magazine for Kyushu Hikers Community
山で過ごす時間の速度は緩やかで、
1日が48時間分くらいあると思う。
さぁ、山を歩こう。
この季節がやってきた!そう、ミヤマキリシマ!5月が近付くとソワソワ。きっとみんな同じ。満開はいつなのか。天気は良いのか。山によっても開花期が異なるのも悩みどころ。そうこうしているうちに、くじゅう連山はことごとくタイミングが合わず諦めた。うーん。何処の山にしよう...
霧島連山通の友人から、今年の大幡山の花付きが良いよ、との連絡が。しかも丁度満開のタイミングと重なりそう!って事で即決定。
当日、満車かと思われた登山口駐車場にギリギリ車を滑り込ませた。ホッ。ここからはサクッと稜線に出る。しばし進むとチラホラ現れるミヤマキリシマが満開で迎えてくれた。これは否が応でも期待が高まる。
進む道の先を見ると一面のピンク色!今まで見たことのない景色に言葉を無くし、Yさんと顔を見合わせた。そこからは2人とも叫ぶほど大興奮。眺めては同じような写真を撮りまくる。あぁ、この景色が見たかったんだ。嬉しさを噛み締めて360°ぐるっと。
この日はやっぱりSさんや、Hさんに偶然会えた!みんな考える事は同じね。感動を分かち合える喜びに浸った。
Yさんと毎年の様にこの季節に登る池。あの貴婦人の薫りを胸いっぱいに吸うために。
池の淵から群生地へ向かう。いつも薫りが嗅げる場所にあるオオヤマレンゲの木が折れていた。去年の大雨、台風のせいだろうか。他の木も花付きが良くない気がする。残念。
このままでは帰れない。消化不良なので、えびの高原エコミュージアムに咲くオオヤマレンゲに会いに行く。思う存分薫りを吸った。そう言えば、薫りを吸う時は目を瞑りがちだな、とぼんやり思った。
新燃岳が噴火して少し落ち着いた。今登らないと暫く登れなくなるかもしれない、と韓国岳へ。噴煙を上げる新燃岳を眺めたい気持ちもある。勿論噴煙の風向きも確認してから山へ向かう。
いつもとは違う緊張感を持って、足早に山頂を目指す。辺りはガス一面だけれど、山頂に着く頃には晴れると信じて。いざ着いてみると真っ白な世界。それでも、この風が吹き飛ばしてくれるかもしれない。そう念じて暫し待つ。
ガスが抜ける。キターッ!1人で心の中で叫ぶ。やっと見えた噴煙を上げる新燃岳。ゴーッという音が聞こえそうな程迫力ある姿。馴染み深い噴煙を上げる桜島とは全く違う。不謹慎かもしれないけれど、すこぶる格好良かった。
メンバーは、いつものPセン、Hプンと。どうやら雨らしいけれど、とりあえず山へ向かう事に。このメンバーならどうとでも出来る安定感があるから有難い。
相変わらず登山口までが遠い。携帯の電波が通じなくなる前にみんなでMTG。雷雨予報なので無理はしない事に決めた。幸い素敵な方々に出会い、車中泊キャンプが出来る事に。良かった〜。それでも諦めずナイトハイクを狙うも予報は好転せず。とりあえず早い時間から宴会開始。Hプン持参のUL中華鍋が大活躍。何でもとりあえず中華鍋で炒めたら美味しい事を発見。色々焼いたり炒めたりと満腹に。明日晴れたら歩こうと決めて就寝。
朝目覚めると、しとしと雨が降っていた。のんびり朝ごはんを食べつつ、やっぱり歩きたいって気持ちが一致。ゆるっと準備し、車を下山する登山口に一台デポして登山口へ向かう。
久々に雨の中歩く。私はレインウェア上下と傘で。2人はレインウェアの上着とレインスカートと傘。偶然にも双子コーデで可愛かった。お揃いのレインスカートを買おう。
今年、雲仙岳で声を掛けてくれたMちゃんと。Mちゃんが栗野岳に咲くオオキツネノカミソリを見た事がないらしくアテンドする事に。
登山口から既に蒸し暑い。八幡大地獄は相変わらずもくもくと絶えず水蒸気が湧き立ち、硫黄の香りを充満させていた。小石に白い析出物が付いていたので少し舐めてみる。やはり塩!温泉の味がしっかりと残っていた。舐める私に驚くMちゃん。少しなら大丈夫なはず(自己責任で)。火山の息吹を感じつつ群生地へ。
序盤から例年より花数が多いのがすぐに分かった。1番の群生地ポイントへ辿り着くまでに、2人して何度も歓声を上げる。そしてとうとう1番の群生地へ。そこは天国と言っても大袈裟ではない美しさ。眩い花々と岩、苔、光芒。貸切で心ゆくまで堪能した。
ここから稜線に出るまでは急登。途中でMちゃんの叫び声が。なんとトグロを巻いた蛇を踏んだらしい。沢沿いだしマムシの可能性も高い。それでも何事も無くて一安心。
下山後に、初めてトンカツラーメン(ラーメンの上にトンカツがドンっと乗っている)を食べた。
なかなか山に行けずモヤモヤ。天気予報に振り回されてS君と韓国岳に決定。サクッと付き合ってくれるなんて有難いな。
登山口から見上げた山頂は、白い雲に覆われている。それでも久しぶりに山を歩けるのが嬉しい。3合目を過ぎた辺りから小雨が降り出した。暫くは濡れつつ歩く。やっぱり止まない雨。そこで私は傘をさす事に。S君は、これくらいなら、と濡れながら歩く。真っ白な世界を進むと、あっという間に山頂に到着。いつも通り山頂標識裏の気温計を確認。大浪池まで歩くのはキッパリと諦めた。あ、先日購入したレインスカートデビューしたかったな。
下山後、お昼ご飯をえびの高原にあるお蕎麦屋さんで食べよう、と。何気に初めてこのお店に入る。ざる蕎麦に、丸々1個の柚子とすりおろし器が出てきたのには驚く。なかなか柚子の皮がすりおろせなくてやきもきしたのも面白かった!
9月は何処を歩こう。
テキスト・写真/may
プロフィール
may
あっという間に山の虜。気付けばほぼ毎週末山にいるような。ホームマウンテンは霧島連山。屋久島は通い続けて13回。九州脊梁好き。時々鉱物活動。鹿児島在住。
instagram | may.yamay