One Day

Day 1020220210 / 晴れ

image 羊蹄山の中腹から、人口2,000人弱の真狩村をのぞむ。その先には洞爺湖、さらにその向こうには太平洋が広がっている。

冬を北海道で過ごすようになって10年以上になる。実は、福岡での在住暦よりも北海道の方が長いのだ。

その北海道では、羊蹄山の麓にある真狩(マッカリ)村という村に滞在している。
北海道の地名には不思議な音を持つものが多い。そしてそのほとんどは漢字を見ただけで読み方を言い当てることは難しい。
それは、地名の多くがアイヌ語の名前を継承していることが多いからで、漢字は当て字ということになる。地図を眺めたり、クルマで走っているとなんと読むのかわからない地名が次々と現れる。

真狩村の村名は、「後ろから羊蹄山を取り巻くように流れる川」を意味する「マクカリペッ」に由来するという。
アイヌ語で「ペッ(ベツ)」や「ナイ」は「川」を意味し、登別や稚内のような地名は、「川」の名前から付けられている。
僕が毎日のようにスキーをする「ニセコ」は、アイヌ語で「切り立った崖」という意味があり、 スキー場のある「ニセコアンヌプリ」の「ヌプリ」は「山」を指し、「ニセコアンヌプリ」で「切り立った崖(とその下に川)がある山」となるらしい。
ここに降るパウダースノーで世界的に名を知られたニセコであるが、地名の由来を知るとかつてここで暮らした人々の痕跡が感じられるようで感慨深い。

春になると、北海道を後に津軽海峡を東北へ渡り、春スキーを楽しみながら南下する旅が始まる。東北には、アイヌにつながる祖先文化である「蝦夷」の存在が確認されており、したがって、東北にも北海道のアイヌ由来のものと似たような地名が数多くある。

次はどこの山を滑ろうかとクルマを走らせ過ぎていく地名を追う旅は、それは同時に古代の人々の足跡を辿る旅となっていくのだった。

テキスト・写真/豊嶋秀樹

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