Web Magazine for Kyushu Hikers Community
北海道から九州へ戻る南下の旅の途中で、久しぶりに八ヶ岳へ立ち寄った。
山と道の夏目くんと山を歩きながら、いろんな打ち合わせを合宿スタイルでやるためだ。
コロナ禍もあって、ここ2年ほどはおあずけになっていたが、僕がディレクターを務めている「山と道HLC」というプロジェクトも5年ほど前の仙丈ヶ岳を歩きながらのミーティングから生まれた。
やはり、山に関わる物事を考えるには山で行うのが手っ取り早い。
八ヶ岳は僕にとっては特別な山だ。
まだ関東に住んでいた頃、山を始めたての僕は、毎月のように八ヶ岳に通っていた。
コンパクトな山域に、バリエーション豊かなルートに恵まれ、山小屋やエスケープルートもたくさんあって安全性が高く、季節を通じて全く表情を変える八ヶ岳は、山での経験を積むには最適だった。
晴れた日に稜線歩くことはもちろん最高だったし、わざわざ雨の日を選んで森歩きを楽しむこともあった。厳冬期の赤岳や残雪期の全山縦走というのも思い出に残る。その中でも、冬の北八ヶ岳で双子池のほとりにテントを張って、ほとんど何をするわけでもなく、持ってきた食料やお酒が尽きるまで数日間ダラダラとしているだけ、もう登山とは呼べない、ただ山で時間を過ごすというのがお気に入りだった。
久しぶりの八ヶ岳を、取り止めもなく思い出に耽りながら歩くのもいい時間だった。
夏目くんとの打ち合わせを仕上げるために、八ヶ岳を下山した僕たちは、廻り目平キャンプ場へと向かった。
テキスト・写真/豊嶋秀樹