One Day

Day 2020230427 / 晴れ

image 春はいつも東斜面が正解だ。最高のバーンコンディションに描いたシュプールを振り返る。

今年もまたニセコオートルートと呼ばれる、ニセコ連峰の縦走をいつもの仲間と行なってきた。振り返ると、この連載『One day』の第1回にも2年前の縦走のことを書いていた。今回で8年連続となった春の恒例行事は、僕らにとってもはや「これをやらないとシーズンを終われない」というものになっている。

何度も同じことをやって飽きないのかと思う人もいるかもしれないが、それがまったく飽きないのである。
その主な理由をいくつか挙げると、まずひとつ目は同じニセコ連峰ではあるが、毎年ルートを変えている。プランは東西に30kmほど連なる山々のどの端っこから入って、どこで終わりにするのかという、旅の入口と出口を決めるところから始まる。もうほとんどのパターンをやり尽くしてはいるものの、そういえばあそこから入ったことないねとか、こっちへ抜けて終わるのはどうかなど、アプローチの面から限られてはいるものの、旅の枠組みを考えることはいつも楽しい。

ふたつ目は、毎年雪の状況や天候が異なることだ。同じような時期に設定はしているものの、その年の積雪や融雪の状況に応じて斜面のコンディションは大きく異なるし、何より春の天気は変わりやすい。天気と雪のコンディション次第で天国にも地獄にもなることは、ハイキングと同じ、いやそれ以上かもしれない。

みっつ目は、同じ仲間うちでやっていることではあるが、みんなそれぞれに色々と予定や事情があって、微妙に毎年メンバーが異なることだ。それでも、なんとか参加できるように調整して続けられているのは、みんながこの旅を大切にしているからにほかならない。今年に関しては、メンバーのうちの二人が途中で合流してくるということになり、どこで落ち合えるのかはっきりしないことが、旅の良いスパイスとなった。

確か4年目だったと思うが、13座あるニセコ連峰のピークをすべて踏破し、そのまま雪をつないで僕らの住む街の公園をゴールとする旅をコンプリートして以来、ピークをつなぐことには執着しなくなった。そのおかげで、今ではもっぱら、雪の良い斜面をつないで移動し、気に入ったところで何度も滑っては登り返すことを繰り返すというスタイルになっている。

子供の頃に、近所の小さな公園で毎日飽きずに遊ぶために、いろんな遊び方を工夫して、時には新しい遊びを発明して、みんなで時間を過ごしていた。
僕にとってニセコオートルートでの春の恒例行事は、子供の頃に培った遊ぶ力を大いに発揮させてくれる素晴らしい公園となっている。

テキスト・写真/豊嶋秀樹

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