One Day

Day 2320230704 / 晴れ

image 小鳥たちの鳴き声がさまざまに響くトレイルの先に、半月湖は羊蹄山の麓に緑に覆われひっそりと佇む。

雪に覆われた季節を「ホワイトシーズン」、春になって雪が緑に取って代わられると「グリーンシーズン」。ニセコでは冬と夏のアクティビティーに対応する季節を切り分けてそう呼んでいる。
僕にとってホワイトシーズンの羊蹄山はバックカントリースキーのメインフィールドであるが、グリーンシーズンが始まると双眼鏡を首に下げ、図鑑を片手にバードウォッチングに出かけることが多くなる。
特に、半月湖の周辺は鳥の種類も多く、本州では出会うことの稀な鳥も多く見られるのが嬉しい。
小鳥の多くは、渡り鳥だということを初めて知ったときの驚きは今でも覚えている。
中国南部や東南アジアから北上してくる種もあれば、中国北部やシベリア方面から南下してくるものもいる。海外渡航までせずとも、日本国内で南北に移動するだけの鳥もいるし、同じ地域で標高だけを上げたり下げたりといった種類もいる。
移動の距離や方角はさまざまではあるが、長ければ数千キロにもおよぶ命懸けの旅を毎年行っているという事実に、生命のあり方へ感動を覚える。

美しいグリーンに満たされたトレイルをのんびりと歩きながら、折り重なる小鳥たちのさえずりに耳を傾ける。その響きの美しさは、壮大な旅の果てにあるのだという事実をもって、僕に大きな勇気を与えてくれるのである。

テキスト・写真/豊嶋秀樹

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