Web Magazine for Kyushu Hikers Community
久しぶりに沖縄を訪ねた。最も長く滞在した年は半年近くいた事もあり、友人も多く、沖縄は僕にとって馴染みの深い場所だ。
半年ほど前、LCCが沖縄便のセールをやっていたのを見つけ、行けたらいいやという程度の気持ちでチケットを購入した。
さて、我々の旅の目的はシュノーケリング。しかしながら、例年より遅い梅雨入りは沖縄も例外ではなく、活発な梅雨前線がしっかりと沖縄に腰を下ろしていた。逆に雨や曇りの方が海中の魚は見やすいという話もあり、スーツケースにギアを一式詰め込んで出発することにした。
雨なら良かったのかもしれないが、土砂降りとなると話は別だった。強風と雷も加勢し、海は川から流れ込んだ濁流で茶色く染まっていた。
晴耕雨読というではないか、開き直って文系の旅に切り替えることにした。そして、向かったのは海洋文化博物館。1975年の沖縄国際海洋博覧会の際に開館した施設で、沖縄を含めた太平洋地域における海洋民族の歴史や文化を紹介している。島々の人々の生活や航海に使ったカヌー、住、食、漁撈、装い、音楽、踊り、信仰などが多くの資料や映像を通じて太平洋地域に広範囲に移住した人類の足跡と文化の広がりを知ることができる素晴らしい施設だった。
その夜の宿、考えなしに見始めた映画「インターステラー」は宇宙を舞台に時空を超えて移住しようとする人類の物語、翌日見たドキュメンタリーでは沖縄戦で多くの命が犠牲となった南部への移動、久しぶりに再開した沖縄へ移住した友人たちなどが連なり、今回の旅に「人類の移動」というテーマが後付けされて行った。
そういえば、ハイキングも移動の話だと気がついて、それ以来、「移動すること」という考えに取り憑かれる束の間の沖縄の旅となった。
事前計画はほどほどに、流れと出会いを頼りにつなぐ時間は、予想を超えたところに連れて行ってくれるのだと妙に納得した。
テキスト・写真/豊嶋秀樹