One Day

Day 420210725 / 霧

image 山での日の出はいつも特別だ。雲早山の山頂付近を覆う、早いスピードで流れる濃いガスが太陽の姿を幻想的に彩る。

徳島県に神山町という、実はよく知られた町がある。
一時期は限界集落とまで言われていたこの町が知られることになった理由のひとつに、数々のITベンチャー企業が神山町にサテライトオフィスを設置したりと、地方創生の聖地とまでいう人もいるくらいの再生をとげたことがある。
神山町はその後も多くの移住者を惹きつける場として活性していて、企業のオフィスのほかに、町民にとってもうれしいおいしいごはん屋さんやローカルビールのブリュワリーなどもあり、神山町での暮らしはとても魅力的に映る。

さて最近、そんな最先端な神山町に僕はたびたび出かけている。
理由は、神山町の人たちと一緒に『神山ハイキングクラブ』というプロジェクトをスタートさせたからだ。
世話人として、先に述べたようなサテライトオフィスを神山町におく、ウェブ制作会社である「株式会社モノサス」のスタッフであるショウゴ、神山町の台所とでも呼びたくなる地産地消のご飯やさん「かま屋」や「かまパン」など食に関わる多面的なアプローチを試みる「Food Hub Project」のタイチ、そして僕の3人が中心となり、そこにアドバイザー的な役割として働き方研究家として知る人も多い西村佳哲さんにも参加してもらっているハイキングクラブである。
僕以外は、神山に住んでいたり、オフィスがあったりする人たちだ。
クラブのメンバーは、神山町だけでなく、とは言え、徳島の他の町から参加している人もいる。

『神山ハイキングクラブ』は、外向けのイベントやツアーとして開催しているわけではなく、あくまでも自分たちが、近場の山で様々なスタイルやテーマのハイキングを楽しむためのクラブだ。そこで僕が世話人として進めているのが、ULハイキングをテーマとしたハイキング。参加メンバーの中にはULハイキングの経験がしっかりとある人もいれば、知っているけど実践したことはない、いや、ULハイキングなんて聞いたこともないという人まで様々だ。
『神山ハイキングクラブ』でのULハイキングの特徴は、もちろん普通にハイキングに出かけるのではあるが、しかしそのハイキングの目的は、「いかにULハイキングの方法や思想を自分の生活や仕事に応用できるか?」ということを実践を通じて考えることにある。
ULハイキングは衣食住を最小限の単位で検証する実験的な要素が多分にあると思う。だから、その方法や思想を意識的に思考し身につけていくことで、ULハイキングのノウハウを生活や仕事に転換するこことはそれほど難しくなく、むしろそのためのとてもわかりやすいツールであると思う。

こんなことを書き連ねると、何やらややこしいことを山でやっているなと言われるかもしれないが、山での時間はごく普通のハイキング。みんなでおしゃべりしながら歩き、食べ、眠る。楽しい仲間と山を歩けばそれだけで楽しい。

回を重ねるにしたがって深まっていく『神山ハイキングクラブ』での次の時間が楽しみだ。

テキスト・写真/豊嶋秀樹

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