Web Magazine for Kyushu Hikers Community
「そろそろ終わりにして、秋にバトンタッチしようかな」とでも呟いているかのように、北海道の夏はお盆を過ぎるととたんにトーンダウンする。
気候変動の影響は、北海道の夏をこれまでよりも暑くしてはいるものの、本州以西の「酷暑」と比べると言わずもがなである。
インドネシアで1ヶ月ほど過ごして北海道へ戻ると、足早に過ぎ去ろうとする夏の背中が目の前をサッと横切っていくまさにそのとき、というようなタイミングだった。
それは、サーフィン三昧のエンドレスサマーから首根っこを掴まれて現実に引き戻されたような気分だ。「ほら、ぼやぼやしていると言ってる間に雪が降ってくるよ」という空からの声が空耳とは分かりつつも、気持ちはザワザワと居心地が悪くなってくる。
雪が降る前に、あれもこれもやっとかないと、、、TO DOリストを書き出してみると、その項目の多さにため息が出る。
「ああ、北の神様よ、エンドレスとは言いませんので、もう少しだけ夏のままでいてください!」
空を仰いで心の中で叫んでみても、どこまでも爽やかな秋風にさらわれた僕のリクエストは、心地よい虫たちの演奏会に届くことはなかったのである。
テキスト・写真/豊嶋秀樹